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なるほど!働き方改革

なるほど!働き方改革

第1回・働き方改革って?
第2回・労働時間の把握
第3回・時間外労働の上限規制①
第4回・時間外労働の上限規制②
第5回・時間外労働の割増率引き上げ
第6回・時間外労働の上限規制・番外編
第7回・年次有給休暇の年5日取得義務①
第8回・年次有給休暇の年5日取得義務②
第9回・読者からの質問編①
第10回・番外編・パワハラ防止法

第1回・働き方改革って?

「働き方改革」という言葉を最近よく耳にしませんか。
2018年の国会で成立し、2019年4月から施行された「働き方改革関連法」。政府は「働く人々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で選択できるようにするための改革だ」と言っています。
具体的には、「労働基準法」や「労働安全衛生法」などの労働法を改正して、事業所に次の9項目を見直させることになります。
①労働時間の状況を客観的に把握するよう、事業所に義務づける
②残業時間の上限を規制(建設業などは施行後5年間の猶予あり)
③月60時間を超える残業は、割増賃金率を引き上げる
④1年に5日間の年次有給休暇の取得を、事業所に義務づける
⑤同一企業内での正社員と非正規社員との不合理な待遇の差を解消
⑥「勤務間インターバル」制度の導入を促進
⑦「フレックスタイム制」により働きやすくするため、制度を拡充
⑧専門的な職業の労働者の「高度プロフェッショナル制度」を新設し、選択できるようにする
⑨産業医、産業保健機能を強化する
では、事業主は具体的に何をすればいいのか? 次回から、連載で説明していきます。

第2回・労働時間の把握

皆さんは、自分や従業員が一日何時間働いているか、把握してますか?
2019年4月から義務化された項目の一つに、「労働時間の把握」があります。
働いている時間(労働時間)が、一体どこからどこまでなのか。それがわからないと、何時間働いたのかもわかりません。
そもそも「労働時間」とは、労働者が使用者(事業主)の指示下に置かれている時間のことです。例えば、朝礼や仕事の引き継ぎ、終業時の片づけ、出社後の移動時間など。実際に業務に携わっていなくても、労働時間に含まれます。ただし、休憩時間は含みません。
事業主は、役職や非正規などの雇用形態にかかわらず、すべての従業員(労働者)の労働時間を把握する義務があります。では、把握するためにはどうしたらいいのでしょうか?
原則は、①使用者が現認で確認、②タイムカードなど客観的な記録で確認、例外として③労働者の自己申告により始業・終業時刻を確認し、記録、のいずれかの方法により、把握しなければなりません。
しかし、建設業の事業所では、現地集合・解散の場合も多く、事業主が常に労働者と一緒というわけでもなく、またタイムカードも…。
そのような場合、例えばスマホの勤怠管理アプリを利用するとスムーズです。まずは、始業と終業、休憩時間を確認することから取り組みましょう。

第3回・時間外労働の上限規制①

自分や従業員の労働時間が把握できたら、次に取り組むべきことは、「時間外労働の上限を規制すること」と「36協定の提出」です。
働く人を守る基準を定めた法律である「労働基準法」では、労働時間の限度は、「1日8時間」及び「1週40時間」と決められています。これを「法定労働時間」といいます。
また、毎週少なくとも1回の休日を与えることとされています。これを「法定休日」といいます。
「法定労働時間」を超えて労働者に働かせる場合や、「法定休日」に働かせる場合には、「労働基準法第36条に基づく労使協定(36協定=サブロク協定)」を締結し、所轄の労働基準監督署へ届け出る必要があります。
「法定労働時間」以外に働かせることを「時間外労働」、「法定休日」に働かせることを「休日労働」といいます。どちらの場合も、法定割増率に基づいた割増賃金を支払わなければなりません。
また「36協定」を届け出さえすれば、何時間でも残業させていいということではありませんので、ご注意を。

第4回・時間外労働の上限規制②

時間外労働時間の原則は、月45時間・年360時間以内が上限です。臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、年720時間以内、時間外&休日労働を合わせて月100時間未満、複数月平均80時間以内を超えることはできません。
今までは、行政指導のみでした。しかし、これからは、違反した場合、罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。
ただし、建設業は約5年間の猶予期間があり、適用は2024年4月1日からです。しかし、すぐに対応できることではないため、5年間猶予がある、ではなく今のうちから備えていきましょう。 

第5回・時間外労働の割増率引き上げ

労働時間の把握ができたら、時間外労働(残業)をどれくらいさせているか、いないか、わかります。
そして、その労働時間に対しては、きちんと適正な割増賃金を支払わなければなりません。「日給いくら~」ではもう通用しません。
残業代の計算については、法定労働時間(1週40時間、1日8時間)を超える時間外労働(法定時間外労働)に対しては、通常の1時間あたりの賃金に1・25倍をかけた額の割増賃金を支払わなければなりません。さらに月60時間を超えた部分に対しては、1・5倍以上の割増率の賃金を支払うことが労働基準法で決められています。
中小企業は、月60時間超についても1・5倍の支払いは猶予されていますが、2023年4月からは、この猶予もなくなります。

第6回・時間外労働の上限規制・番外編

連載の第4回でもお伝えしたとおり、時間外労働時間の上限規制は、「建設業」の場合、5年間の猶予期間があり、適用は2024年4月1日からとなります。
ここで注意していただきたいのが、「建設業」の範囲。今回、猶予となるのは、日本標準産業分類で「建設業」に分類されているもの。同じく建設に関連する仕事であっても、「建設業」以外に分類されているものは、猶予の対象とはなりません。
具体的には、地質調査業・測量業・設計監理業・設計製図業・建設コンサルタントなどは、「土木建築サービス業」となります。
これらの業種の方は、2020年4月から「時間外労働時間の上限規制」がスタートします。違反した場合、罰則もありますので、ご注意ください。

第7回・年次有給休暇の年5日取得義務①

労働基準法上、①6か月以上継続して雇われている、②全労働日の8割以上を出勤しているという2点を満たしていれば労働者に対して有給休暇を与えなければなりません(表①)。
パートや短時間ではたらく労働者も、労働日数に応じて付与されます。対象となるのは、所定労働時間が週30時間未満でかつ、週に4日以下、または年間の所定労働日数が216日以下の方です(表②)。
そして、2019年4月からは、すべての事業所において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年5日を取得させることが事業主の義務になりました。

表①

表②

第8回・年次有給休暇の年5日取得義務②

有給休暇は原則として、労働者本人の希望する日に自由に与えなければなりません。ただし、請求した日にちが事業の正常な運営を妨げる場合(例えば、同じ日に有休を希望した労働者が多く、その全員に休暇を付与することが難しい場合など)には、他の時季に年次有給休暇の時季を変更することができます。これを時季変更権と言います。
時季変更権を行使する場合は、あらかじめ就業規則に記載することが必要です。労働者が10人未満の会社で、就業規則作成義務がない場合は、雇用契約書等に記載しましょう。
この年次有給休暇の繰越は2年です。前年度に取得されなかった休暇については、翌年度に与える必要があります。
また、年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額やその他の不利益な取り扱いをしないようにしなければなりません。
年5日の取得ができなかった労働者がいた場合、法令上は事業所に対して、一人当たり30万円以下の罰金が科される可能性がありますのでご注意ください。
日給者の有休休暇の賃金や雇用調整助成金等での休業手当の計算方法については表のとおりです。
表はこちら

第9回・読者からの質問編①

この間、組合員の皆さんからご質問のあった事項をご紹介します。
Q.新しく人を雇ったけど、試用期間中はまだ健康保険・厚生年金保険には加入しなくもいいの?
A.たとえ試用期間中でも、要件を満たせば、加入させなければなりません。
通常、新たに人を雇い入れたとき、正式採用前に3か月程度、様子見の期間を設けますよね。
試用期間といえど、長期雇用を前提とした労働契約を結んだ状態です。正式に採用されている人より解雇できる条件が広い範囲で認められているだけ。待遇までがお試し期間、というわけではないのです。
なお、労働時間が週20時間以上で1か月以上雇う予定の人なら雇用保険、週30時間以上で2カ月以上雇う予定の人なら健康保険・厚生年金保険にも加入させなければなりません。

第10回・番外編・パワハラ防止法

2020年6月1日(中小企業は2022年3月31日まで努力義務)から、いわゆる「パワハラ防止法」が施行されました。
これまで、職場の「パワーハラスメント」は法的な定義はありませんでした。それが今回の法改正により、あらためて「職場におけるパワハラ対策は事業主の義務」となりました。
罰則はないものの、事業主は、職場でのパワハラ発生を防止し、解決するための策を講じなければならず、また被害者や加害者のプライバシーを保護することや、被害者を解雇するなどの不利益な扱いをしないことといった措置が求められています。
では、「パワハラ」とは、具体的にどんな行為を指すのでしょうか。
厚生労働省によると具体的には、①優越的な関係を背景とした言動であって(「上司から部下」だけでなく、「先輩・後輩間」「同僚間」「部下から上司に対して」などを含む)、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるもの、であり、①から③まで3つの要素をすべて満たすものをいいます。
ただし、客観的にみて業務上必要かつ、相当な範囲でおこなわれる適正な業務指示や指導の場合はパワハラには該当しません。
他の職人の前で叱責したり、モノを投げつけ圧倒させたり、仕事を分け与えなかったり。そんな光景見たことありませんか。
責任は会社にあります。パワハラ防止のための研修を受け、意識向上につなげることも重要です。また、各労働局には相談窓口があります。

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